上手な染めかえ
■色抜き=染かえは絹の「きもの」の楽しみ
染めかえるには、まず色抜きをしますが、色によっては、すっかり抜けきらない色もあります。 たとえば黄色,黒,エンジなどは抜けにくく、金・銀糸、うるし、箔おきのものも、染めかえることはできますが、年月が経つと、その箇所が目立ってきます。 また、色抜きしても、古いシミや日焼けはとれにくいので、お染めかえは早い目にします。

■「きもの」を解くには
  1. 解きものには、小さな握りハサミを使います。カミソリの刃などを使いますと、うっかり布地を傷めることがあります。
  2. 長い間縫いかえをしなかった着物、特に絹物は、糸が抜けにくく、無理をすると布地を傷めるもとになります。額に布をこすりつけるようにして油をつけるとよく解けます。
  3. 縫い目を解くときは、縫い終わりと縫い始めにハサミを入れて糸を切っておき、長い縫い目は途中にもハサミを入れておいてから、糸を抜きます。
  4. 綿入れを解くときは、始め袖口、振り、身八つ口、衿、衿下、裾合わせ、その他続けてある所を解き、裏に綿をつけたままで、まず表身頃を綿にそってはがします。
  5. 次に身頃を綿からはがし、表身頃と同様に解きます。
  6. 染めかえる布地は、うっかり傷をつけて知らずにいると、後で大きくなり困ります。ていねいに扱うように注意しましょう。

■白生地の選び方
一越縮緬の目方は一反が約680gです。この程度のものなら、二・三度の染めかえしや色抜きにも充分たえられます。綸子は、染めたいと思う図柄にあった地紋を選びます。たとえば、竹模様ならば、垣の地紋にします。紬は厚地で生地のしっかりしたものを選びましょう。

■黄変した白生地
白生地を半年以上もそのままにしておくと黄変する可能性があります。黄変した白生地は練り直してから染めますのでちゃんと染まります。

■誂え京染めというのは=二種類あります。
  • 別あつらえ
    白生地に自分の好みの模様を染めてもらう方法をいいます。
  • 染めかえ
    流行遅れになったものを新しく、派手になったものを地味に、模様があきたので違った柄を、というように、染めかえによって、もう一度新しくよみがえさせることです。

■上手に染めかえるコツ
計画的に=はじめからよく考えて
二・三回の染めかえを考えの中に入れて、たとえば、はじめは淡い色の無地に、次にやや濃いめの柄のあるもの、そして最後に小紋のように色彩豊富な色柄のものに染めると、いつまでも新しいものと同様に着られます。 また、きものを羽織や道行コートに染めかえれば、傷みも少なく、染めかえものの欠点がカバーできます。